「今、この瞬間」にいる自分に意識的に100%の注意を向けること、考えや感情に押し流されず「今、この瞬間」にいる自分を良い悪いの判断することなく、ありのままに観察して受け止めることです。第3世代と呼ばれる新しい心理療法で、欧米では医療機関だけでなく、企業や行政の研修にも取り入れられています。
「明日の会議で失敗したらどうしよう」と起こってもいない未来に不安を感じたり「あの時どうしてあんな事をしてしまったのだろう」と変えられない過去を悔んだり、「こんなことを考えてしまうなんて、自分はダメな人間だ。」と頭の中に浮かぶ考えに判断を下して落ち込んだり…、私たちの考えは、未来や過去など「今、ここ」ではないどこかへ行ってしまうことが多いのです。
それ以外にも様々なメリットがあります。
感情的な状態とは「感情」という小舟に乗って川を流れているようなものです。そのまま流されていくと、川の先にある滝に落ちてしまうこともあります。
一方、マインドフルネスな状態とは、川岸に立ち、「感情」という小舟が流れている様子を見ているようなものです。川は流れているので、じっと見ていれば、いずれ「感情」という小舟も目の前から流れ去っていきます。
感情に巻き込まれなくなるため、自分の困りごとを客観的に見ることができ、問題解決につながる行動や考え方ができるようになります。
マインドフルネス瞑想法と言われるトレーニングを行います。
「今、この瞬間」に意識を集中するためにトレーニングを行いましょう。
レーズンを1粒使います。レーズンを手に取って、眺め、匂いを嗅ぎ、口の中に入れてゆっくりとかみ、味わい、飲み込むというエクササイズです。たったひとつのレーズンを食べるという行動を細分化し、その行動をゆっくりと少しずつ進めながら、その時の身体感覚(五感)、考え、気分をありのままに感じ、描写します。
自然な呼吸を意識しながら、筋肉が伸びたり縮んだりする感覚を味わいます。
楽な姿勢で横になり、普段は意識していない体の様々な部分に意識的に注意を向けることにより、身体的な感覚を観察します。
日本では瞑想にあまり良いイメージを持てない方が多いのではないかと思います。マインドフルネス瞑想は仏教の瞑想をベースにしていますが、宗教的なものではありません。また、「無」になったり、現実逃避したり、スピリチュアルな体験をすることでもありません。マインドフルネス瞑想とは、「今、この瞬間」にいる自分に注意を向けるための、脳のトレーニングです。瞑想を行うことにより、思考や感情に関係する脳の部位の血流が良くなり活性化するという研究結果があります。
自然な呼吸を心がけながら、体の感覚、自分の頭に浮かぶ考え、感情を観察します。感情や考えに振り回されそうになったら、呼吸や身体の感覚に意識を集中します。(例えば、呼吸によってお腹が膨らんでいる、縮んでいる、空気が鼻を通っている、足の裏が床についているなど。)落ち着いてきたら、また自己観察を続けましょう。
リラックスできたから「良い」瞑想、雑念がたくさん浮かんだから「悪い」瞑想、ということではありません。瞑想とは、そのような状態をありのまま観察してみるトレーニングです。
歩く動作に意識を集中する瞑想、立っている状態をありのままに味わう瞑想、正座瞑想などのトレーニング方法もあります。
「今、この瞬間」にいる自分をありのまま受け止めるには練習が必要です。まずはあまり難しく考えず、1日3分ゲーム感覚でやってみましょう。